日本は欧米とは異なるパターンを辿る?
最新のECDC(欧州疾病予防センター)の統計データを分析したところ、日本は欧米とは異なる感染爆発パターンを辿っている可能性が強まってきました。
新型コロナによる死者数は、指数関数的な増加を続けていますが、その勢いは欧米と比べると穏やかな推移を見せています。
前回のエントリでは、やや悲観的なシナリオを予想していたのですが、その展開にはならずに済んだ模様です。
日本のリスクは、欧米諸国と比べても著しく小さく抑え込まれているようです。
最大の違いは、1週間で死者数が5倍~10倍に膨れ上がる初期爆発のフェーズ
が殆ど見られない点です。
まずは、こちらのギャラリーをご覧ください。
欧米諸国との比較:死者数の推移
こちらは、死者数(人口100万人あたり)の推移をプロットしたチャートです。
日本も感染爆発フェーズに入り、指数関数的な増加傾向を見せているのですが、欧米のような勢いは見られません。
欧米ほどの厳格な強制や罰金を伴ったロックダウンを実施していないにも関わらず、被害は2ケタ小さい規模に収まっています。
感染爆発フェーズの序盤に、初期爆発というべき猛烈な死者数の増加が欧米諸国では見られるのですが、日本ではその初期爆発が見られないのが、死者数推移の比較における最大の違いです。
1週間ごとの死者数増加率の推移
こちらは、1週間ごとの死者数増加率の推移です。
死者数増加率は以下の計算式で求めています。
死者数増加率(%) = \frac{死者数}{1週間前の死者数} \times 100
直近1カ月の推移を描画していますが、欧米諸国は1週間の死者数増加率が500%を越える、まさに爆発的な増加を3月から4月にかけて迎えていました。
一方日本は、死者数が1名⇒6名に増えた際に600%の増加率を見せましたが、それ以外は欧米のような爆発的増加は見せず、今日に至っています。
おおよそ、120%~130%の間で死者数増加率は推移しています。
これは、1週間で死者数が1.2~1.3倍になることを意味します。
指数関数的増加であるものの、ゆるかやなペースの範囲で収まっているのが日本の特徴だと言えます。
死者数増加の勢いが少し弱まる
こちらは、死者数の推移をプロットしたものです。
先週(4/25)に計測した時と比べて、今回は死者数の増加の勢いが弱まっていることが分かります。
ただ、後ほど触れますが4/23に死者数が一気に100人増えた影響がフェードアウトしたのが原因です。
厚生労働省は、独自の採用基準を設けており、各都道府県からあがってきた死者数を合計した値をそのまま採用しているわけではなさそうです。
1日で100人死亡というニュースを私の方では把握していないので、今のところ、厚生労働省側の判断による調整か何かだと考えています。(が、もし報道・エビデンスを見つけたら修正しようと思います)
焦点は、次週以降において、死者数増加の勢いがどうなるです。
今週末、1日あたり30名前後の死者数が報じられている記憶があるので、まだまだ予断を許さない状況だと思います。
1日の平均死者数の傾向
こちらは、1日あたり平均死者数の推移です。
4/23に一気に100人追加した影響が抜けて、1日の平均死者数の値が減少しています。
既に述べたように、厚生労働省側の調整による影響と考えられるため、この減少をそのまま鵜呑みにして喜ぶのはまだ早いでしょう。
来週以降の平均死者数の推移をもう少し観察しないといけませんね。
まとめ
ということで、思っていたよりも被害の拡大はしていないものの、まだ予断は許さない状況であることをお伝えしました。
先行する欧米諸国の感染統計から、当てはまるパターンが見つかるのではないかと思ったのですが、2ケタレベルの規模の違いは埋まることなく現在に至っています。
統計的に見て有意差があるのは明らかですね。