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オバマゲート疑惑:フリン元中将訴訟取り下げ命令に違法ギリギリで抵抗するサリバン判事

フリン元中将の起訴取り下げ命令に危ない橋を渡ってまで抵抗する担当裁判官

 
 オバマゲート疑惑の中心にあるフリン元中将に対する起訴ですが、間もなく大きな動きが起きる模様です。
 米司法省がフリン元中将に対する起訴取り下げを決定したのに対し、裁判を担当していたエメット・サリバン地方判事違法ギリギリの危険な橋を渡ってまで起訴取り下げに抵抗を見せていました。
 しかし、判事としての職務を遂行することを命じる、職務執行令状が高位の裁判所から発行され、その猶予は6月1日までとなる状況に追い込まれた模様です。  

 百聞は一見にしかず。まずは、次のスライドをご覧ください。

それでは、各スライドごとに解説を進めて参りたいと思います。

第1ラウンド:司法省 vs フリン元中将起訴取り下げに徹底抗戦するサリバン地方判事

 米司法省は、フリン元中将への捜査に違法性の疑いがあることなどの調査結果を受けて、起訴取り下げの決定を下しました。
しかし、裁判を担当しているエメット・サリバン地方判事は、米司法省の決定に対して、違法ギリギリの異例の手段を駆使して徹底抗戦の構えを見せたのです。

サリバン地方判事が用いた異例の手段は、次の通りです。

  • 米司法省が起訴取り下げ決定を下した途端に、刑事事件では認められていない法廷意見書(アミカス・ブリーフ)※解説)の採用を許可する命令を出した。
    • 連邦法では、上訴裁判所、民事事件でのみ認められている。刑事事件では認められていない。
    • 具体的には、刑事事件で当事者と関係がない第三者による法廷意見書の提出は、連邦法では違法の恐れがある。
    • 法廷意見書(アミカス・ブリーフ)の提出を申請したのは、元ウォーターゲート事件の元検察官グループと名乗る16名の団体で、実態は米民主党の支持組織であった。
  • 米司法省の決定に対する反対の論陣を張るため、ジョン・グリーソン元連邦検事を指名し、フリン元中将の起訴取り下げに対する反対弁論を依頼した。
    • 次のスライドの説明で触れるが、この反対弁論の依頼した行いは、上位裁判所から異議申し立てをされている。

 俯瞰すると、サリバン地方判事はフリン元中将の起訴取り下げに抵抗すべく、自分の考えの正当化を図ろうとしたものの、いずれの行動も異例で連邦法逸脱の恐れが強く上位裁判所や連邦最高裁から異議を出されている状況と言えます。

 例えば、法廷意見書(アミカス・ブリーフ)は、当事者ではない第三者が情報や専門知識・洞察を提供することで裁判の進行を支援するための仕組みなのですが、連邦法では刑事事件においてはその使用が認められていません。
 さらに、法廷意見書の提出を許可した相手が米民主党の支持組織であり、立場の客観性・中立性の点で疑いが拭えません。

 このように、かなり苦しい弁論の展開をしているため案の定、上位裁判所から「言い訳していないで、職務を遂行しなさい」と命令を出されてしまうのでした。

第2ラウンド:コロンビア特別区控訴裁判所の職務執行令状に抵抗するサリバン判事

 
 サリバン地方判事の属する裁判所の上位裁判所である コロンビア特別区控訴裁判所が、サリバン地方判事に対して職務執行令状(※解説)を発行し、司法省の決定に従うように命令しました。

  • コロンビア特別区控訴裁判所は、サリバン判事に司法省の命令に従って職務を遂行するように職務執行令状を発行した。
    • 5/19にフリン元中将の顧問弁護士シドニー・パウエル弁護士が職務執行令状の訴状を申し立てており、5/21に職務執行令状が発行された。
    • コロンビア特別区控訴裁判所は、グリーソン元連邦検事を指名したサリバン判事の決定に異議を出した。
    • サリバン判事には10日間の猶予が与えられた。
    • 6月1日までに司法省の命令に反対する理由について、その正当性をカバーする回答をする必要がある。
  • サリバン判事は、そこで著名人や有力者の法廷闘争で活躍しているベス・ウィルキンソン弁護士という辣腕の弁護士を個人で雇って、回答の準備を進めている。
    • ウィルキンソン弁護士は、5/31 までに準備書面を提出する予定とのこと。

 地方裁判所の判事が、司法省の決定に反対する行動の正当化のために個人で弁護士を雇い、司法省と真っ向から対決するという異例の展開を見せています。

 このブログを公開した時点で、ベス・ウィルキンソン弁護士は、サリバン地方判事の立場を正当化するための準備書面を提出しているものと思われますが、コロンビア特別区控訴裁判所が発行した職務執行令状を覆すだけの説得力のあるエビデンスを示すことができるかが焦点となります。

 ちなみに、コロンビア特別区控訴裁判所は、米国で最も著名で権威ある裁判所の一つとして知られています。
 ワシントンのコロンビア特別区という地理的な位置もあり、米国行政や憲法など国家レベルの問題を主に取り扱う裁判所となっています。
 そのコロンビア特別区控訴裁判所が出した決定を覆すことは、決して並大抵のことではないことは明らかです。
 

今後の展開はいかに?

 このエントリをアップした翌日が6月1日となり、職務執行令状に対する猶予が起源を迎えます。
 フリン元中将に対する起訴取り下げが確定する可能性は高いと思われますが、これまでのサリバン判事の行動を振り返ると、勝ち目がない無理筋な反論をさらに繰り返そうとする可能性があります。

 結果だけ見てみると、違法スレスレの手段で司法省の決定に抵抗するものの押し切られるということの繰り返しです。司法省の決定を覆そうと言うよりは、何かしらの意図に基づいた時間稼ぎをしているように見えます。

 その仮説が当てはまるとすると、ベス・ウィルキンソン弁護士は、結論を先延ばしにするような時間稼ぎに繋がり得る手段を講じてくるのではないかと考えられます。

 ここでフリン元中将の起訴が取り下げられると共和党側が勢いづくのは間違いないため、民主党としては結論をできるだけ先送りにしたい事情があります。

 公開されている情報・報道を俯瞰する範囲では、共和党側が情報公開請求に基づいた証拠を積み上げてジリジリと外堀を埋めるような攻勢に出ている一方、民主党側はそれに対抗する証拠を示すことができず、感情や世論に訴えたり、無理のある手段による抵抗に頼っているように見受けられます。

 中国やWHOを巡る展開も並行し、6月になるとさらに情勢の緊迫化・混迷の深まりが予想されます。
 日本では殆ど報じられない事象ですが、世界の行く末を占う重大なインパクトを持っているのは間違いないので、今後も継続的にウォッチして参りたいと思います。

オバマゲート疑惑のエントリ、こちらも併せてご覧ください!

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資料

用語説明

法廷助言書(Amicus brief)

被告のために、法廷助言者(=Amicus Curiae ラテン語/事件の当事者ではない第三者)が裁判所に提出する意見陳述書。

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アミカスキュリエ(文字通り、"裁判所の友人"、複数形、amici curiae)は、
事件の当事者ではない人が、事件の問題に関係する情報、専門知識、または洞
察力を提供することにより、裁判所を支援するものである。

アミカス準備書面を考慮するかどうかの決定は、裁判所の裁量の範囲内にあり
ます。amicus curiaeというフレーズは、ラテン語の法律用語である。

米国では、アミカス・キュリエは通常、他の法域では介入者として知られてい
るものを指す。

他の管轄区域では、カナダなどでは、アミカスキュリエは、多くの場合、当事
者の一方または両方が弁護士によって表されていないため、そうでなければ適
切に放映されないであろう問題に関する法的提出物を提供するために裁判所に
頼まれている弁護士である。

米国最高裁は、係属中の事件で提出されるアミカス・キュリエ準備書面につい
て特別な規則を定めている。

最高裁規則37では、準備書面は、当事者が扱わない「関連する問題」のうち、
「かなりの助けになる可能性がある」ものをカバーしなければならないとして
いる。

アミカス準備書面の表紙には、準備書面がどの当事者を支持しているのか、ま
たは準備書面が肯定または逆転のみを支持しているのかを明記しなければなら
ない。

裁判所はまた、特に、すべての非政府のアミカス・キュリエは、準備書面の作
成または提出に金銭的な貢献をした者を明記することを求めている。

準備書面は冊子形式で作成し、40部を裁判所に送達しなければならない。

米国最高裁判所では、アミカス準備書面が連邦政府(またはその役員もしくは
代理人のいずれか)または米国の州によって提出されている場合を除き、一般
的には裁判所の許可(休暇の申し立てによる)または当事者の相互の同意が必
要とされる。

口頭弁論を提示するためにアミカスキュリエを許可することは、"異常 "とみ
なされる。

当事者のどちらも下級裁判所の決定をサポートしていない場合、裁判所はまた、
それが少なくとも44回行われている場合は、独自のアミカスキュリエを任命す
ることができる。

出典:英語版Wikipediaより抜粋/Link
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職務執行令状(Mandamus)

政府や裁判所、企業、公的機関に対して、法律で義務付けられた職務を遂行するまたは控えることを裁判所から命じる司法救済措置。裁判所が職務を拒否した場合、裁判所が職務を遂行するように命じるためにこの職務執行令状を使うことが出来る。
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職務執行令状とは、政府、下級裁判所、企業、公的機関に対して、その機関が
法律で義務づけられている特定の行為を行う(または行うことを控える)こと
を裁判所から命じる[1]形式の司法的救済措置であり、公共の義務の性質を持
ち、特定の場合には法定の義務の1つです。

法定の規定に反して何かをすることを当局に強制するために発行することはで
きません。

例えば、下級裁判所が行われた申請を拒否したり、承認したりすることを強制
するために使用することはできませんが、裁判所がいずれかの方法を支配する
ことを拒否した場合は、その申請について支配するように裁判所に命令するた
めに、職務執行令状を使用することができます。

職務執行令状は、行政行為を行うか、特定の行動を取らないように命令するこ
とができ、それは法的権利によって補完されています。

アメリカの法制度では、苦情に悩まされている人が職務執行令状を求めること
ができる前に、それは司法的に強制力を持ち、法的に保護された権利でなけれ
ばなりません。

人は、彼らが何かをする法的義務を持っており、それを行うことから棄権して
いる誰かによって法的権利を否定されている場合にのみ、苦情を受けていると
言うことができます。

出典:英語版Wikipediaより抜粋/Link

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人物情報

ベス・ウィルキンソン弁護士

フリン判事のエメット・サリバンはベテランの裁判弁護士ベス・ウィルキンソ
ンを雇っています。

ウィルキンソンは、米国の大手企業の弁護を行う弁護側の裁判弁護士として、
ワシントンの法曹界を中心に注目を集めてきました。

彼女の注目すべき個人クライアントの弁護活動には、ブレット・カバナフ氏の
米国最高裁の確認公聴会での弁護活動などがあります。

ベテランの裁判弁護士ベス・ウィルキンソンは、連邦控訴裁判所が、トランプ
元国家安全保障顧問のマイケル・フリンがFBIに嘘をついたことを認めたにも
かかわらず、訴訟を却下した米司法省の決定を調査する計画に疑問を呈する中、
エメット・サリバン連邦地方判事の指導に当たっています。

出典:Flynn Judge Emmet Sullivan Hires Veteran Trial Lawyer Beth Wilkinson

エメット・サリバン地方判事

裁判の経緯についてもよくまとめられています。

ドナルド・トランプ氏の元国家安全保障顧問であるマイケル・T・フリン
(Michael T. Flynn)の事件は、連邦地裁のルドルフ・コントレラス判事に無
作為に割り当てられた。

2017年12月1日、フリンとロバート・ミューラー特別顧問は、D.C.の裁判所で
司法取引に合意した。

司法取引では、フリンはFBIに嘘をついた1つのカウントを認め、ミューラーの
捜査に協力していると述べた。

12月7日、コントレラスはこの事件から身を引いたが、無作為にサリバン
に再任された。

フリンが有罪を認めた理由について質問した後、サリバンはフリンの有罪を認
めた。

2019年6月、フリンは弁護士を変え、捜査官と検察官が不適切な行動をとっ
たと主張し始めた。

2019年12月16日、サリバンは、FBIによるおとり捜査と検察官による不正行為
というフリンの主張を却下し、2020年1月28日の判決を言い渡した。

2020年1月14日、フリンは「政府の悪意、悪意、司法取引の合意違反を理由に」
有罪答弁を取り下げる申し立てを行った。

1月16日、サリヴァンはフリンの判決日を2月27日に延期した。

2020年5月7日、司法省(DOJ)は、フリンに対するすべての告訴を取り下げる
動きをすると発表した。

告訴を取り下げるかどうか、また取り下げる場合には再審を防ぐために「偏見
をもって」取り下げるかどうかは、サリバンに委ねられていた。

2020年5月11日、元裁判官で検察官のジョン・グリーソンは、他の元法執行官
と共同で、サリバン判事に司法省の動議を精査することを奨励する論説を執筆
した。

5月12日、サリバン判事は、フリンに対する告訴を取り下げるための司法省の
動議を保留し、利害や見解を持つ外部の関係者からの「法廷の友人」(アミカ
ス・キュリエ)の意見を含む聴聞会を検討すると発表した。

5月13日、サリバンはグリーソンを指名し、司法省の告訴取り下げの試みに正
式に反対し、フリンが2度も宣誓の下で裁判所に有罪であると話した際に偽証
罪を犯したかどうかを調査するようにした。

サリバンは、「適切な時期に」、DOJが告訴の取り下げに動く際に、外部の関
係者がDOJの主張に反論するためのスケジュールを設定すると述べた。

2020年5月19日、フリンの弁護士は、D.C.C.控訴裁判所に職務執行令状の訴状を
提出した。

控訴裁判所は、サリバンに告訴の取り下げを命じるよう求め、グリーソンを指
名するサリバンの決定に異議を唱え、サリバンをこの事件から外すよう求めた

2020年5月21日、US v Fokker Servs, BV, 818 F.3 d 733 (DC Cir 2016)を引
用して、D.C.C.巡回控訴裁は、Sullivan判事に2020年6月1日までに職務執行
令状に応答するよう命じ、政府にも同じ10日間の期間内に応答するよう求めた

出典:英語版Wikipediaより抜粋/Link

情報源

ZeroHedge - On a long enough timeline, the survival rate for…

USA TODAY

Trump and Barr threaten the independence of our judiciary an…

Fox News
Blaze Media
Raw Story - Celebrating 20 Years of Independent Journalism
Fox News

Rep. Doug Collins, R-Ga., told "Fox & Friends" on Sunday it …

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